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突発的に行けることになった夏コミにて、A野H美嬢にものっそイイ笑顔で、「はい、これ!」と渡された、『いるかちゃんヨロシク』から、最終話妄想な春海×いるかです。
……うん、嵌らないはずがない、ときめかないはずがない。パーフェクトな黒髪青少年が明るくって元気な少女に振り回されるの、大 好 き !!! ですよ真生さん。女の子が色素薄い系だと直良し! 直良し!!
つまり、なにが言いたいかというと、H な み し ゃ ん の せ い (笑)(伏字の意味ない)ですw
あ、ピクシブにも同じものを挙げていますです。
がたん、ごとん、と一定のリズムで揺れる電車の中。自分なりに決死の覚悟で出てきた家出の原因があっさりと解決に向かったことで安心し、甘えるように春海の肩に頭を預けていたいるかは、同じように無言で寄り添っていた彼がおもむろに口を開いたのに、閉じていた瞼を持ち上げた。
「俺たちの結婚式には、いるかウェディングドレスだから」
「うん。……うん!?」
気が抜けたからか騒動の後だからか、とても眠い。それでも、静かに掛けられた声が真剣な色を帯びていたから、なぁに、と訊ねるように返事をして。だがいるかは続けられた言葉に急速に眠気が飛んでいくのを感じた。
「け、けけけ、ケッコンシキ!??」
なんでそんな話に!!?
唐突すぎる春海の言葉に、ただでさえ出来が良くない頭はまったく理解しようとしてくれない。がばっ、と思わずもたれ掛っていた躰を離せば春海が、「嫌なのか?」と、むっ、とした表情になった。
「い、いいい、いやだとか、そういうことじゃなくってっ!」
だってあたしたち、まだ高校生だし!!
そう、悲鳴のように上げた声は彼の、静かに、という諌めと口を覆い隠すように押し付けられた手のひらに止められる。きょろきょろ、と周囲を見回す春海に、そうだったここ電車の中だった、と自分たちが公共の乗り物の中にいることを思い出して頬を染めたいるかは、座席に隠れるように躰を縮込ませた。
「そりゃ、実際に籍を入れるのは最低でも高校……いや、ある程度収入が安定してからになるだろうけど」
そんないるかの様子に、どうやら大声を出すことはなさそうだと判断したのか春海が、そぅ、と押し当てていた右手を離す。
「でも、東京に戻ったら本格的に話が進むだろうし。いるかが相手なら、断る理由はないしな」
むしろ、大っぴらにいるかがおれのものだって言えるようになるから、大歓迎。
それから、そんなことを大真面目に言われているかは、かぁ、と顔が熱を持つのを感じた。
「いるか」
かお、まっか。
なにをいえばいいのか……確かに、いるかだって相手が春海なら、というか春海以外の人と結婚させられるかもしれないと思ったから逃げ出したのだ。でも。
「だ、だ、だって……!」
くすり、と笑われて、ますます顔が熱くなる。以前うっかり妄想した、彼との結婚式の妄想が急激に現実味を帯びてきて、はくはく、と喘ぐように浅い呼吸を繰り返していると春海がさらに笑みを深めた。その笑顔に胸がドキドキして、けれど自分はこんなにいっぱいいっぱいなのに妙に余裕に見えて、どこか悔しい気持ちもわいてくる。
おかしい。
春海のこと好きだけど大好きけど。でも春海だってあたしのこと好きって言ってくれててるのに、なんであたしばっかり振り回されてるの。
「で、でもなんで? なんでウェディングドレスで決定なの?」
生来の負けず嫌いな性分が、むくむく、と沸いてでてきて。かといって反撃の方法なんてまったく思い浮かばず、ごまかすように訊きかえせば何故か、じろり、と春海に睨まれた。
「春海?」
え、なんで!? と一瞬身を強張らせるものの、よく見るとその頬がうっすらと色づいている。
「なに?」
「春海もカオ、赤いよ?」
不機嫌そうに見えるけれど、じわじわ、と赤い部分が増えていくので、あまり怖くはない。というか、春海が頼りになったり助けてもらったりしたことはたくさんあるけれど、彼に怖いと感じたことはない。そのため、じぃ、と見つめ続ければ、やがて根負けしたかのように、ふぅ、と小さく溜息を吐かれた。
「――…ろ」
「え?」
何か言われたけれど、声が小さすぎてよく判らない。なに、と訊きかえせば春海は、口をへの字に曲げた。
「白無垢はお前、さっきまで着てたろ」
「? 着てたけど」
「っなんで、心底惚れてる子に、おれよりも先に、おれ以外の男のための、婚礼衣装を着てるとこを、見せられなきゃならないんだよ!」
だから、ぜったいドレス着せるから。
周囲の目を気にしてか小声で、けれど一語一句区切るように言われた言葉は予想すらもしていなかった内容で。
確かに、錦のじいちゃんにねだられて、仮の祝言を上げることにはなったけどっ、と言い訳のように頭の中を白無垢を着た理由が、ぐるぐる、と回る。けれど、ふい、と視線を外した春海の耳が、見る見るうちに真っ赤に染まっていくのにいるかは、少しおさまりかかっていた頬の赤みが復活するのを感じた。
「……春海」
おずおず、と呼びかければ、春海はますます顔を背ける。拒絶にも見えるその行動に、だが、ひょっとして、と思い浮かんだ想像というか、期待を止めることができなくているかは、ちょんちょん、と彼のジャケットの裾をつまんだ。
「ねぇ、春海ってば」
「……なんだよ」
「ひょっとして……ひょっとしてさぁ、それって……」
ヤキモチ、とか。
彼が、かっこよくて頭もよくって、運動もできて、女の子が放っておかないような人なのだということは、いるかだって解っている。だから、まのかといい里美学習院に入ってからの周囲の女の子たちといい、彼に近づこうとする自分以外の『誰か』に焼きもちを妬くことはあっても、自分がその対象になるなんて思ってもみなかった。
そのため、ついうっかり願望を口に出したものの、それはあまりにも自惚れすぎだとすぐさま自分で否定して、なんてね、と気恥ずかしさからごまかそうとしたいるかはしかし、そう言った瞬間、かぷっ、と春海に口を噛まれたのだった。
あんだけ独占欲強くて意外と冷静になれない熱血漢のくせに、いるかちゃんのあの格好にコメントなしとか、絶対ないよね。って思ったら、いつの間にか指がキーを打っていました。
……いつもこうだったら、良いのにねorz