昨日の『宮廷女官 チャ○グムの誓い』で、チャ○グムの相手(ですよね?)のミン・○ョンホの台詞にうっかりときめいて、突発的に書き殴ってみた、未来リョ桜高校生編。高校生編って書かなきゃわかんないかも;;な、微未来モノ。
今、唯一見てるドラマがこれっていうのも、いかがなもんかと・・・・・・orz。
でも面白いよ、チャ○グム~。
[0回]
Hard of Pray「ごめんなさい!!」
「・・・は?」
生まれ育った国で、念願のタイトルをとるなり、とるものもとりあえず、それこそ文字通り着の身着のままで戻ってきた第二の故郷で。
空港に着くなり連絡を入れ、実家にも寄らずまっすぐに逢いにきた恋人の第一声に、リョーマはぽかん、と間の抜けた表情になった。
「えぇと・・・竜崎?」
どういうことなのか、と。腕を伸ばして触れようとしたリョーマに、桜乃が小さく肩を震わせる。
「ごめんなさい・・・」
「ちょ、竜崎!?」
そしてもう一度、今度は泣き出しそうな声で謝ってきた桜乃に、さすがのリョーマもうろたえてしまう。
何しろ、何に対して謝っているのかがまったく分からないのだから。
「あの、さ・・・」
「あ、あの、ね。あの・・・」
「あ、はい」
「ごめんなさい、まだ・・・行けません」
途方に暮れた表情で見つめることしか出来ないリョーマの前で、ふるふると小さく首を振って、桜乃はじっとリョーマを見つめた。
「ごめんなさい。リョーマ君は、約束・・・守ってくれた、のに」
一緒に行けません。
そう言って、桜乃は唇を噛み締めた。
「理由、を・・・訊いても、イイ?」
その意味するところに気付いて、リョーマの声が掠れる。
ちょうど三年前の今頃、同じように彼女の家の前で。こんなふうに向き合ってした約束。
あの時と同じように、今にも泣き出しそうだった彼女と交わした言葉。
あのとき彼女は、嬉しそうに頷いてくれたのに。
「オレのコト・・・イヤに、なった?」
「ちがっ! 違う、あの・・・!」
僅かに項垂れたリョーマに、桜乃は慌てて否定すると、
「ま、待って欲しい、の・・・4年」
かすかに震える指でリョーマの服の裾を摘んで、囁くような声で呟いた。
「私が・・・大学、卒業するまで」
「ぇ・・・?」
悩みもせず否定してくれたことに安心しながら、それでも、それじゃあどうして、と不安の消えずにいたリョーマは、そのせいで桜乃が告げた『理由』に、一瞬反応できなかった。
「だいが、く・・・?」
「・・・はい」
「・・・行きたい、の?」
「・・・うん。・・・勉強したいことが、出来た、の」
けれど、伺うように見上げてくる桜乃に、どうやら最悪の理由からではないことを、というより、考えたそれよりもずっと、たいしたことの無いものだったことが解るとリョーマは、「だから」と続けた桜乃の言葉を奪うようにその躰を抱きすくめていた。
「・・・・・・なんだ」
「・・・・・・りょ、りょーま、くん?」
わずかにうろたえた声を上げる桜乃に、きゅっ、と回した腕に力を込めて、リョーマはすぐ顎の下に位置する桜乃の髪に唇を埋め込むと、そろそろと息を吐いた。
「なんだ、そんなこと・・・」
「そんなことって、だって・・・っ!?」
心底安堵して、今度はゆっくりと香りを楽しみながら息を吸い込んだリョーマに、桜乃が顔を上げる。その唇に触れるか触れないかの口づけを落として、リョーマは桜乃の腰に腕を回した。
「そんなコトでしょ。オレ、ひょっとしてフラレんのかなとか思って、ビビッたし」
「え、ふられるって、誰」
「だから、オレがアンタに。てっきりアイソつかされたのかと」
「えっ!?」
そっと、閉じ込めるように抱きしめて、苦笑を浮かべると、桜乃が素っ頓狂な声を上げた。その表情が、考えたこともないと言っているようで。
「そん、そんなことぜったい―――・・・!!」
「イイよ」
目を見開いて、大きく首を振った桜乃を遮って、リョーマは口端を持ち上げた。
「・・・え?」
「4年でしょ、そんくらい待つって言ってんの」
「い、いいの・・・?」
「いつも待たせてんのはオレだし、1回くらいオレが待つよ」
「・・・1回、だけ?」
その言葉に小さく目を瞬くと、くすり、と笑みを零して尋ねる桜乃に、リョーマもまた小さく笑みを浮かべる。
「そ。それ以上は待たないから」
「うん。・・・ごめんね?」
「いいよ、どっちにしても一緒だし」
こつん、と額を触れ合わせて、覗き込むようにして見つめれば、桜乃がほんのりと頬を染める。
いつまでたっても初々しいその反応に柔らかくこころを捕まれて、リョーマはそっと、両手で桜乃の頬を包み込んだ。
「1年でも、10年でも・・・ずっとずっと、アンタと一緒に生きるからって、そう言ったでしょ。それが少し、遅くなるだけ」
だから、4年くらい待つよ。
唇が重なり合う瞬間、そう甘低く囁いたリョーマに、桜乃は三年前と同じように柔らかく、幸せそうに微笑んだ。
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